タイM&A支援くん
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タイ進出は「新設 vs 買収」どっちが正解?コスト・期間・リスクを徹底比較

タイ進出の2択――新設とM&Aの本質的な違い

タイ進出を検討する際、必ず直面する選択が「新会社を設立するか(グリーンフィールド)、既存の会社を買収するか(M&A)」です。

この選択を誤ると、数千万円の無駄なコストと数年の時間ロスが発生します。結論を先に言えば、スピードと既存顧客基盤が重要な事業なら買収、独自ブランドと特殊なビジネスモデルが重要なら新設です。

以下で数字を使って徹底比較します。


基本比較表

項目新設(グリーンフィールド)買収(M&A)
設立・成約期間6〜12ヶ月3〜6ヶ月
初期費用(着手コスト)50〜200万円300〜1,500万円(DD費用)
投資総額設立費用+初期運転資金取得費用+DD費用
顧客獲得ゼロから既存顧客を引き継ぎ
許認可新規取得が必要既存許認可を引き継ぎ(条件付き)
従業員採用から既存スタッフを引き継ぎ
外資規制新規登録時に設計可能現状の規制状況を引き継ぐ
ブランドゼロから構築既存ブランドを活用できる
初年度黒字化困難(通常2〜3年後)既存収益があれば即日黒字可能

コスト比較の詳細

新設(グリーンフィールド)のコスト

会社設立費用

タイで有限責任会社(บริษัทจำกัด)を設立する費用は以下です。

費用項目金額目安
登録費用(DBD)資本金100万バーツにつき5,500バーツ程度
弁護士・設立代行費用5〜30万円
会計士・税務登録費用5〜20万円
法人印鑑・書類作成2〜5万円
設立費用合計約50〜200万円

初期運転資金(業種によって大きく変動)

  • 製造業(工場設備含む):3,000万円〜数億円
  • 小売・飲食業:500万〜3,000万円
  • サービス業(ITコンサル等):300万〜1,000万円

新設の「見えないコスト」 設立費用以外に、事業が軌道に乗るまでの赤字補填が必要です。製造業では最初の2年間で1億円超の赤字補填が必要なケースがあります。

買収(M&A)のコスト

初期コスト

費用項目金額目安
DD費用(法務・財務・税務・労務)400〜1,500万円
仲介手数料(成功報酬)取引額の5%〜(最低300万円)
タイ特有費用(外資規制調査等)50〜200万円
PMI初期費用200〜500万円
合計(別途取得費用)650万〜2,200万円

取得費用(株式購入代金)

スモールM&A(売上1〜3億円規模の小型企業)では500万〜5,000万円が相場です。中型案件(売上10〜50億円規模)では5,000万〜5億円になります。


期間比較の詳細

新設の期間内訳

工程期間目安
進出可能性調査・方針策定1〜2ヶ月
会社設立手続き2〜4週間(DBD登記完了まで)
BOI申請(申請する場合)3〜6ヶ月
事務所・工場の確保1〜3ヶ月
採用・研修2〜6ヶ月
営業開始〜初受注3〜12ヶ月
事業として軌道に乗るまで1〜3年

買収の期間内訳

工程期間目安
方針策定・候補探索1〜3ヶ月
NDA・LOI締結2〜4週間
DD実施1〜2ヶ月
最終交渉・SPA締結2〜4週間
クロージング1〜2週間
クロージング後から事業稼働即日〜1ヶ月

期間差の結論:事業稼働までの期間は買収が6ヶ月〜1年早い。市場機会を急ぐ場合や競合が先行しているケースでは、この時間差が致命的になります。


リスク比較

新設のリスク

① 顧客獲得ゼロからのスタート タイのBtoBビジネスでは、初回取引まで6〜18ヶ月かかるケースが普通です。タイのビジネスは人間関係ベースで動くため、信頼構築に時間がかかります。

② 採用・育成コスト タイ語・英語ができる優秀な人材の採用競争は激しく、月給4〜8万バーツ(16〜32万円)の人材でも3〜6ヶ月かかります。採用後の離職率も30〜50%と高い。

③ 許認可取得の不確実性 業種によって許認可取得に1〜2年かかるケースがあります。BOI申請が不許可になるリスクも存在します。

④ 撤退コスト 事業が失敗した場合の撤退コストは多額です。従業員への退職金(最大10ヶ月分の月給)・資産処分・法人清算費用(6〜12ヶ月・50〜200万円)が発生します。

買収のリスク

① 隠れ債務・簿外負債 DDで発見できなかった負債が買収後に判明するケースがあります。タイの中小企業では税務未申告・未払い社会保険料が累積しているケースが多い。

② キーパーソン離脱 オーナーが去った後、主要スタッフ・顧客が離脱するリスクがあります。特に属人型のサービス業(コンサル・クリエイティブ・医療)で多発します。

③ PMI(統合)の難しさ 言語・文化・経営スタイルの違いから、日本式管理を押しつけてタイ人スタッフが反発するケースがあります。

④ 外資規制の引き継ぎ 買収した会社が既にFBA違反状態だった場合、買主が違反を引き継ぐリスクがあります。


新設が向いているケース

以下の条件が当てはまる場合は新設を推奨します。

① 独自ブランド・独自ノウハウが競争優位の場合 日本発のブランドをそのままタイに持ち込む戦略(飲食チェーン・アパレル等)では、既存のタイ企業を買収してブランドを統合するより、新設してゼロから展開する方が一貫性を保ちやすい。

② 既存の顧客基盤が不要な場合 完全輸出特化の製造業や、日系企業向け専業のサービス業は、タイ人顧客を引き継ぐ必要がなく、既存企業の顧客基盤に価値を見出せません。

③ 設備・立地に特殊要件がある場合 EECエリア限定の工業団地への入居が必要な製造業等、特定の立地要件が条件の場合は新設が現実的です。

④ 初期投資を最小化したい場合(スモールビジネス) フリーランス的なコンサルティングや小型ECビジネスなど、設立費用50〜100万円で始められる規模なら新設の方がシンプルです。


買収が向いているケース

以下の条件が当てはまる場合は買収を推奨します。

① スピードが最優先の場合 競合が先行している市場では、2〜3年かけて新設で立ち上げるより、既に市場シェアを持つ企業を買収する方が合理的です。

② 現地顧客・取引先が競争優位の場合 タイ政府・地場大手企業との既存取引関係を持つ企業は、新設では絶対に再現できない資産です。既存の人脈ネットワークに価値があるケースでは買収一択です。

③ 許認可取得が困難な業種 List 2の許認可事業(航空・金融・保険等)は新規取得が極めて困難です。既存の許認可保有企業を買収する方が現実的です。

④ 即座のキャッシュフロー創出が必要な場合 投資回収を急ぐ場合、既存収益のある企業を買収すればクロージング翌月から利益を計上できます。


ハイブリッド型(一部買収+自社拡張)

実務で増えているのが「一部買収+自社拡張」のハイブリッドアプローチです。

典型例:タイ企業の49%買収+新ブランドの立ち上げ

  1. 既存のタイ企業に49%出資して顧客基盤・許認可を活用
  2. 新ブランドは日本本社主導で独立して立ち上げ
  3. 事業が軌道に乗ったら既存パートナーから追加株式を取得

この構造は「新設のリスク」と「買収のコスト」を分散できる半面、意思決定の複雑性が増します。パートナー選定が成否を左右します。


判断フレームワーク(3つの質問)

どちらを選ぶか迷った場合、以下の3つの質問に答えてください。

Q1. 既存顧客・許認可・人材ネットワークに価値はあるか? → YES → 買収 / NO → 新設を検討

Q2. 市場参入タイムラインは? → 2年以内に事業稼働必要 → 買収 / 3年以上かけて良い → 新設も可

Q3. 予算規模は? → 初期コスト1,000万円以下 → 新設 / 1,000万円以上出せる → 買収も検討

3問ともYES・買収方向なら、M&Aの詳細検討に進む価値があります。


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